短期金融市場セミナー
無担保コール市場
取引の概要
◆市場創設の背景 | 1984年6月に円転規制が廃止となり、円転市場やユーロ円市場で無担保の資金取引が活発となった。これに伴い国内外市場との金利裁定を円滑にするため、国内市場を整備する必要に迫られた。また、在日外銀等の円資金調達を円滑にするため、無担保資金取引のニーズが高まった。 |
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◆取引開始 | 1985年7月に市場創設、「オーバーナイト物」と「7日物」で取引開始。 |
◆取引の法的性格 | 無担保の金銭消費貸借。資金の出し手は、資金の取り手に対し直接のクレジット・リスクを負う。 |
◆取引方法 「オファー・ビッド制」 | 短資会社が資金の出し手・取り手の双方から、取引のオーダーの提示を受けて、双方の取引条件の合致により、約定を成立させる方式。短資会社はブローキング形式で出合いをつける。 |
◆オーダーの内容 | ①資金の出し手(オファー)・取り手(ビッド)の別 ②取引期間(スタート日・エンド日) ③レート ④取引金額 ⑤資金決済時刻 ⑥約束手形の有無など。 |
◆取引金額 | 最低取引金額は原則として、5億円以上1億円刻み。 |
◆代理受領制度 | 取引約定後の約束手形の授受は、短資協会の共同受渡で実施されているが、「3時以降に成立したオーバーナイト物」と「遠隔地に所在する資金の出し手との取引」に伴う手形の授受は、短資会社が代理保管することができる。(但し、短資会社と市場参加者で「覚書」の取り交しが必要)。期日決済日には出し手は「コール約束手形決済完了確認通知書」を短資会社にFAX送信。これに基づき短資会社は、約束手形に領収印を押捺の上、取り手へ返却。 |
取引用語
[ファーム・オーダー] | 提示した条件内容で約定(ダン)することを前提とするオーダー。 |
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[アンダー・リファレンス](=アン・リファ) | 取引約定の前にオーダーの内容(金額、レート等)について提示者に照会を要する条件付きのオーダー。 |
[アイザー・ウェイ] (=アイザー) | クレジット・ライン(与信枠)や取引希望金額の不一致などから、オファー・レートとビッド・レートが同じレベルとなっている状態のこと。 |
[ネーム開示→ ラインチェック] | 資金の出し手と取り手の双方の条件が合致した段階で、短資会社は取り手ネームを出し手に通知し、出し手が「ライン・チェック(与信枠確認)」に入ると同時に「資金の取り手側にライン・チェック中」であることを通知する。 |
[ダン] | 出し手のクレジット・ラインに合致すれば、約定が成立(ダン)となり「出し手のネームを取り手に開示」する。取引不成立の場合は、出し手ネームを取り手に開示しない。 |
[ナッシング・ダン] (=ナッシング) | 取引不成立のこと。 |
[マイン][ユアーズ] | 資金を取る意思表示を「マイン」、資金を出す意思表示を「ユアーズ」と表現する。 |
[ギブン][テイクン] | 取引成立を目的に、オファーがビッドに対し条件面で歩み寄ることを「ギブン」、ビッドがオファーに対し歩み寄ることを「テイクン」と表現する。 |
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