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当座預金と準備預金制度

日銀当座預金

  • 民間金融機関は資金決済を行うため日本銀行に当座預金口座を開設し資金を預けている。日本銀行と民間金融機関や民間金融機関同士の資金取引は、すべて「日銀当座預金残高の増減」として集約的に現れる。この当座預金残高の変動が、直ちにインターバンク市場の需給に影響を及ぼす。
  • 2014年10月末現在の日銀当座預金開設先は538先となっている。内訳は銀行126先、信託銀行15先、外国銀行52先、信用金庫258先、協同組織金融機関の中央機関4先、証券会社31先、外国証券4先、証券金融会社 2 先、資金清算機関 1 先、金融商品取引清算機関 3 先、銀行協会33先、その他 6 先、短資会社 3 先である。
  • 「当座預金」とは、超過準備(法定所要額を上回る金額)も含めた準備預金残高および準備預金制度の非適用先当座預金残高を含めた預金残高を指す。なお、ゆうちょ銀行の預け金は準備預金残高に含まれる。日本銀行は、2007年 4 月16日から当日の準備預金残高見込み額の公表時間を、従来の午前 9時20分から午前 8 時頃に繰り上げるとともに、公表計数の単位を1,000億円単位に引き下げた。
  • 原則として、日本銀行当座預金に利息は付かないが、日本銀行が特に必要と認める場合には利息を付すことができる。2008年11月以降は補完当座預金制度のもと、「超過準備」に日本銀行が定める適用利率による利息が付されている(2014年10月現在0.1%)。
  • 日本銀行は、各種のオペレーションや貸出を使って、この「日銀当座預金の残高」を増減させることにより金融調節を実施している。
  • 「金融市場内で、金融機関同士が資金決済を行う場合は、個々の金融機関の日銀当座預金残高は増減するが、日銀当座預金総額は変わらない。日銀当座預金の総額が増減するのは、金融市場外との受け払いがあるときに限られており、変動要因は以下の 3 つがある。
    (1) 日本銀行券の発行残高の増減(銀行券要因)
    (2) 財政の対民間収支の揚げ・払い(財政等要因)
    (3) 日本銀行の信用供与・吸収
    上記の(1)~(3)の関係を式に表すと以下のようになる。
当座預金の増加(減少)=銀行券の還収(発行)+財政の払い(揚げ)+日銀信用の供給(吸収)
《当座預金残高》 増加(+) 減少(-)
「銀行券要因」 還収 発行
「財政等要因」 払い 揚げ
「日銀信用」 供給 吸収

準備預金制度

  • 準備預金制度 は1957年(昭和32年)「準備預金制度に関する法律」により、金融政策の手段として導入され、1959年(昭和34年) 9 月に初めて「適用準備率」が設定された。日銀は、準備率を政策的に変動させることにより、金融機関の資金ポジションに変化を与えることができ、信用創造をコントロールする金融調節の手段としても用いていたこともあった(預金準備率操作)。
    準備預金制度の対象となる金融機関は、法定の準備率から算出した所要準備額(法定準備預金額)を日本銀行の当座預金口座へ無利息で預けなければならない。所要準備額は前月の預金量等から決定される。預け入れなければならない最低金額を「法定準備預金額」または「所要準備額」といい、「法定準備預金額」を超えて日本銀行に預けている準備預金を超過準備という。所要準備額(月中平均残高)に積み上げ日数を掛けた積数金額を、その月の16日から翌月の15日までの間(積み期間)に日銀の当座預金に積み立てなければならない。この方式は「後積み方式」と言われる。日々の準備預金残高は平均所要準備額より多くても少なくてもかまわない。準備預金の積みの進捗は、日本銀行の金融市場調節に左右され、コール市場の金利に影響を与えるとともに、他の市場金利にも波及する。
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